
日雇いの全国行脚で貯めた資金を元に01年の11月、本格的に電気設備のメンテナンス事業をスタートした。ターゲットは全国に店舗を持つ大手チェーン。永濱自身が全国を奔走して口説いた70の零細工事業者が最初のパートナーだった。
しまむらと契約大口顧客を次々獲得
そして02年秋、大手衣料品チェーン、しまむらとの契約が同社を大きく飛躍させる。きっかけは、永濱がしまむらのある店舗に飛び込み営業をしたことだった。
「女性店長にパンフレットを渡したところ、2日後に本社の部長が会社にいきなりやって来て、話を聞かせろと言う。必死にプレゼンしたら、翌日、しまむらの役員から本社に来るようにいわれたんです。面談から1時間後、その場で契約が成立しました」
しまむらとの取引は、無名のベンチャー企業だったラナベイクにとって大きな信用力となり、その後、大口の顧客を次々と獲得する土台となった。
事業を開始して7年。今でこそ順調な同社だが、「事業を始めたばかりのころは顧客の開拓以上に、職人との信頼関係づくりがとにかく大変だった」と永濱は振り返る。
せっかく大手チェーンの仕事をお願いしたのに「店長にあいさつしない」「茶髪にピアスで来る」「店の真ん前に車を止める」といったトラブルを起こし、クレームが舞い込んだことも一度や二度ではない。その度に、永濱は、自分の仕事と技術に誇りを持ち「格好なんて関係ねぇよ」と言ってはばからない全国の職人たちと、時には酒を酌み交わし対話を重ねてきた。
「これからは職人だってサービス精神が必要だ」と永濱が言えば、「気に入らない仕事は家族が飢えたって引き受けない」と言い返す職人。
「今は理解し合えるようになりましたが、まあやんちゃな連中ですよ(笑)。教師になって子供にラグビーを教えることはできなかったけど、子供よりももっとやんちゃなやつらとスクラムを組んで仕事をしているんです。後悔はありませんよ」


